平成最後の湯木美術館鑑賞

令和まで、あと10日となりました。平成が終わるのですね。皆さまの「平成」歴史スケッチはどう描かれましたか?

自身は、この30年はポンコツ船をがむしゃらに漕いで駆け抜けて、なんとかしのいだ平成でしたが、平成が終わる今、上手く”平成スケッチ”が描けなかったようにも思えます。

ですが、自身が茶道を習い始めたのは、なんと平成元年。もう30年の月日が経つのですね。道の長い生涯勉強の世界です。その中での学びと出会いは悪いものなど数ミリのかけらもなく、素晴らしいものばかりで、茶道に関わる事は今後も素晴らしいもの以外はありません。がむしゃらに駆け抜けた平成ながら、茶道に関わっていた時間は自身にとって「平成の宝、人生の宝」として”平成スケッチ”を描くことが出来たように思います。


さて、今年に入ってからも様々な茶会や勉強会に参加させていただき多忙過ぎまして、なかなか記事がかけていなくて申し訳ありません。

久しぶりに美術館の記録をかかせていただきます。


卯月 しっとり雨雫の日、湯木美術館鑑賞に行ってまいりました。

湯木美術館さんは、日本料理”吉兆”さんの創業者湯木貞一さんが初代館長であった事が有名です。淀屋橋 北浜と言う大阪のビジネス街好立地、常時茶道具が展示されており、落ち着いて鑑賞できるように設備など細やかな配慮をされています。大変有り難い美術館です。

http://www.yuki-museum.or.jp/


現在の展示会は…

「きれい」寛永×「いき」元禄 〜くらべて見える江戸茶の湯文化〜


江戸時代の茶の湯の世界を、惜しみなく展示なさってくださっています。


  • 寛永の展示

江戸時代はじめの寛永は1924〜1944年の二十年。今から約400年前になりますね。千宗旦、小堀遠州、金森宗和とその指導を受けた仁清がご活躍をされました。

展示には、数々の仁清窯(にんせいよう)、金森宗和作 赤平茶碗や竹茶杓小堀遠州•江月宗玩•松花堂昭乗賛「蕣(あかざお)絵賛」など大変美しく「きれい」と表現されたのが良くわかります。

寛永の主な展示作品として展示されていたのは「色絵結文香合 仁清窯」東福門院和子所有の品で、蓋と身の表面に白濁釉がかけられ、結び目に赤と青の金泥で鹿の子文様が大変美しく描かれていました。

仁清窯 柳橋図 水指 は、自身には艶やかに光っているようには見えず 、年代を感じる濁りのある色絵に見えました。蓋から和やかに落ちるように描かれた黒のはずの色目も、落ち着いた灰色のような紺色のようで、柳と橋の色目が一段と際立つのは。野々村仁清の世界なのでしょうか。


  • 元禄の展示

元禄は1688年〜1704の十六年、江戸幕府の政治が安定し経済活動が活発化した時期です。尾形深省の乾山焼になり、藤村庸軒や杉木晋斎らが茶の湯の普及に尽くしたとされ、展示は乾山窯(けんざんよう)が多く並べられ、藤村庸軒作 竹茶杓、元禄のにぎやかな大坂を描いた八曲一双「浪華名所図屏風」(大阪市指定文化財)など、まさに「いき」な元禄の世界観そのものと感じました。元禄の主な展示作品として展示されていたのは「錆絵山水文茶碗」半筒形の茶碗の胴に白く化粧をし鉄釉で山水画の近景と賛七字と花押が書かれ、道はろくろで引き上げられ口は少し家になり、そこの削りだした少し広めの高台とその周りは釉をかけない露胎とされているとの事、吸い込まれるような感覚を覚えます。

乾山窯 銹絵染付絵替筒向付 も、大変印象的でした。このような深い筒形の向付を”のぞき””のぞき向”と呼ばれますが、のぞき込まないと中身が見えないところからそう呼ばれるとの事。銹絵は鉄絵とも言われ、”筒向付””深向付”とも呼ばれています。釉薬の下に描く下絵、上に描く色絵の上絵とされ、茶色から黒褐色の色合いが特徴ですが、いわゆる”地味”な色合いのはずなのに、非常に可愛らしく華やかで、十種の絵の楽しさ美しさも魅力です。



さすが江戸時代の展示ということで、寛永×元禄、主に仁清窯と乾山窯を、落ち着いてゆっくりとしっかりと鑑賞させていただきました。また、江戸時代の歴史と、江戸時代の茶の湯の盛んになる関係が見え、楽しくもありました。今から約400年前の茶の湯と、現在自身が茶道を学ばせていただいているところまでに何が起こっていたのか、非常に奥が深く、まだまだ理解する事が難しいところが多くありますが、普段の稽古だけでは見えないところなども、この展示会で触れることが出来ました。

お近くの方は、ぜひともご鑑賞をオススメいたします。

湯木美術館さんの今回の展示会は、2019年4月9日から6月24日まで。(前期4月9日から5月12日、後期5月15日〜6月24日)

http://www.yuki-museum.or.jp/exhibition/




  • 中之島香雪美術館さんでは、5月25日より「茶 席を彩る中国のやきもの」を開催されます。大変楽しみです。必ず鑑賞してまいります。また記事を書かせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。http://www.kosetsu-museum.or.jp/nakanoshima/exhibition/future/