月釜に行ってまいりました〜道具の学習

十一月十一日日曜日、とても良いお天気でした。月釜に行ってまいりました。

定期的に、このような機会があるのは、本当にありがたいことです。

「着物は何にしようか…」
実家から持ち帰ってきた、亡母のものであろう”紅葉に流水”の帯を引っ張りだしてきて、小花柄の着物に合わせることに。

茶道に関わらせていただくことで、
物を大切にすること、古い品を大事に使うこと、古い品にも古い品にしかない良さがあることなども重んじるようになり、こちらもありがたいと思っております。

さて、茶会ですから、もちろん写真撮影は出来ませんが、貴重なお道具を沢山拝見させていただきました。大変良い時間を頂戴いたしました。

手描きで書きうつしてまいりました会記の一部を記載したいと思います。

待合掛物 瀑布に紅葉の図 

本席掛物 淡々斎書付 「清霜紅碧樹」

    ※せいそうこうへきのじゅ 清き霜のためにもみじは赤くときわ木は緑に

香合 坐忘斎好 ふくら雀 宗辰造

丸釜 宝暦年浄味造

   ※宝暦年とは、江戸時代中期

炉縁 根来塗 

   ※根来塗(ねごろぬり)は、日本の塗装技法の一種であり、黒漆による下塗りに朱漆塗りを施す陶器。和歌山県の根来寺に由来。

秋泉棚 光入造

   ※秋泉棚(しゅうせんだな)は、檜地紅溜塗の二重棚で、中棚が流水形で、客付と勝手付に、上段に二葉、下段に一葉の計大小三葉の楓の透しのある横板が付いた小棚。淡々斎の斎号で知られる、裏千家十四世 無限斎 碩叟宗室好み。東京の大宮御所内に貞明皇后(大正天皇夫人)のために建てられた茶室「秋泉亭」の用具として、紹鴎水指棚をもとに、昭和六年の秋に好んだもので、本歌は宗哲作、秋泉亭の余材をもって作られたもの。 名称に秋という字が入っていますが、炉・風炉ともに用いられる。

水指 祥瑞写 芋頭秀享造

鵬雲斎大宗匠好 四君子蒔絵 寛山造

替茶器 鵬雲斎大宗匠好 吹寄せ 即全造

茶杓 淡々斎好 山呼万歳声

   ※やまはよぶばんぜい(ばんざい)のこえ 漢の時代、中国の武帝が従者と嵩山に登り、山の神々に、天下泰平、国家鎮護を祈念。それを見守っていた臣民たちは感激し、天子の武運長久を祝して万歳と歓呼の声をあげた時に、この万歳の声が山々にこだまして万歳々と響き渡ったこのことから、おめでたい時に万歳を三唱するようになったそうです。

深い意味がありそうなので、もっと調べてみました。

山呼万歳声

禅家でこの句を珍重ちんちょうするのは、歓呼の声がこだまして「万歳」と聞こえただけではく、山そのものが「万歳」と呼ぶと見るのです。
 晴れであろうと、雨であろうと、風が吹こうが、どんな暴風雨がこようとも、山はいつも泰然自若たいぜんじじゃくとして少しも動ずるところなく、堂々として静かで雄大です。その雄大な姿こそが光り輝く仏の姿であり、悟りの真実でなくて何でしょうか。雄大な自然が、「万歳、万歳、万々歳」と仏の命を吐露とろしているのです。山だけではありません。川も海も、石も木も、虫も鳥も、事々物々、万々歳と叫んでいます。

※臨黄ネット解説

主茶碗 鵬雲斎大宗匠書付 黒 銘「閑坐」 慶入造 

   ※閑坐 (かんざ)心静かに座っていること。座して欲が漂っていない状態。

鵬雲斎大宗匠好 萩 陶兵衞造

淡々斎好 仁淩写 即全造

菓子 龍田川 他

菓子器 淀屋金襴手鉢 和全造、四方盆 

   ※よどやきんらんで 中国産赤絵茶碗。
茶碗箱蓋裏の張紙に「此茶碗大坂淀屋三右衛門所持也」とあり。昔から淀屋金欄手と呼ばれるのはこのため。豪奢で風雅で知られた淀屋辰五郎、令庵らはこの所持者としてふさわしいと思われるが三右衛門と呼ばれたことがないとの事。ただ辰五郎の先祖に三郎右衛門という人かおり、その誤伝かあるいは支族に三右衛門という大が別にいたのかは不詳。伝来・年代とも不詳。(大正名器鑑 参照)

煙草盆 淡々斎好 杉 つぼつぼ

火入 唐津写 即全造


まとめ

月釜にまとめをつけるのはおかしいのですが、開炉である十一月に、素晴らしいお道具を沢山みせていただき、「まだまだ勉強しなきゃ」と思う次第でございました。

思わず会記の文中に枠を入れて書かせていただいた、茶杓の銘「山呼万歳声」の意味は大変深く、自身は感動してしまいました。

ますます学びに励んでいきたいと思っております。

次回は、炉開きについて書かせていただきます!