茶箱 卯の花点前の手順

茶箱点前は、十一代玄々斎が最初に雪、月、花点前を考案され、卯の花点前が加えられました。卯の花点前は、雪、月、花点前を簡略化し考案され、十三代円能斎が多少改良されて現在の点前にされています。雪月花点前は伝物ですが、卯の花点前は伝物ではありません。夏の点前ですが、茶箱の中では一番シンプルですので、一番最初に習得します。可愛らしい茶箱は一つの場所に限らず持ち運びをして、屋内外問わず沢山の方々にお茶を喫していただけます。


準備

茶箱は利休形。茶碗、古帛紗、棗、茶筅筒、茶巾筒、振出、茶杓(竹でも象牙でも可)、袱紗仕込む。盆は通常搔き合せ爪紅(かきあわせつまぐれ : 木目が生きるように薄く塗られたものに、外縁に朱漆あかうるしを施したもの)の山道盆。

二つ折りにした古帛紗の上に、茶をいれた棗を仕込んだ茶碗を、茶箱の中、手前に寄せて入れる。茶筅を入れた茶筅筒を茶碗の右向こうに入れ、茶巾を四つ折りに絞った姿で両耳を上にして入れた茶巾筒を、茶碗の右向こう茶筅筒手前に入れる。金平糖や豆類などを入れた振出を、茶碗の左向こうに入れる。茶杓を茶碗の上に斜めに伏せてのせ、その上に袱紗を草にさばいて置き、茶箱の蓋をする。

仕込んだ茶箱を盆にのせ、建水を用意する。点前座は、点前畳の中央に敷板を据え、瓶掛をのせて鉄瓶をかけ、蓋は向こう側を少し切っておく。


手順

茶道口に座り、茶箱をのせた盆を建付に置き、襖を開け、主客総礼する。

盆を両手で持ち、瓶掛正面に進んで座り、瓶掛の前に盆を置き、水屋に下がる。

建水を左手に持ち、瓶掛正面に進んで座り、膝横に建水を置き。両手で盆を持ち、客付の方、畳の縁より畳目三つぐらい開けておき、盆上の茶箱を両手で持ち、勝手付に置く。

茶箱の蓋を両手でとり、膝前に置き、箱の中の袱紗を右手でとり、さばき直して、袱紗を右手に持たせ、盆の左方を左手で少し持ち上げ、盆を「三」を描くように拭き、袱紗をそのまま右手で盆の左縁にかけておく。

箱の中の茶杓を右手でとり、左手で扱い、右手で盆の前縁にまっすぐかけておき、振出を右手で取り出し、左手のひらにのせ、二回まわして正面を正し、客付定座に出し、主客総礼をする。

正客は、振出を取りに出て、自席に戻り、縁外に預かっておく。

箱の中の茶碗を両手扱いで取り出し、蓋の上にのせ、右手で茶碗の中の棗を取り出し、左手のひらにのせ、盆の向こう中央に置く。

茶碗の中の古帛紗を右手でとり、二つ折りのまま箱と蓋との間に一手で縦に置き、箱を両手で持ち、少し上座のほうに出し、建水を左手で進めて、居前を正す。

袱紗を右手でとり、さばき直し、棗を拭き、盆の向こう左寄りに置く。

袱紗をさばき直して、茶杓を拭き清め盆の前縁の元の位置にかけておき、袱紗を右手に持ち帰っ、袱紗で鉄瓶の蓋を閉め、袱紗を盆の左縁に戻す。

左手で箱の中の茶筅筒を取り、右手で扱い茶筅を取り出し、茶碗に一度打ちをして預け、茶筅筒を左手で箱に戻す。

右手で袱紗をとり、左手で鉄瓶を持ち、右手の袱紗で瓶蓋を押さえながら茶碗に湯を入れ、鉄瓶を瓶掛に戻し、袱紗を盆の左縁に戻す。

箱の中の茶巾筒を左手で取り、右手で茶巾を取り、茶巾筒を左手で箱の中に戻し、茶巾を両手でたたみ直し、盆上右方に置く。

茶筅通しをし、茶筅を盆上向こう、棗の右に置き合わせ、茶碗を右手でとり、左手に持ちかえ湯を建水に捨て、茶巾を右手でとり、茶碗を拭き蓋の上に置き、茶巾を右手で盆上の元の位置に戻す。

右手で茶杓を取り、客に菓子をすすめ、左手で棗を取り、茶杓を握り込んで棗の蓋を取り、蓋は盆縁(茶杓があった位置)にかけておく。

茶杓を持ち替え、茶をすくって茶碗に入れ、棗の蓋をしめ、棗を左手で盆上、元の位置に戻し、茶杓をもとに戻す。

袱紗を右手でとり、左手で鉄瓶を持ち、蓋を袱紗で押さえながら茶碗に湯を入れ、鉄瓶を戻して、袱紗を元に戻す。

茶筅を右手でとり、茶を点て、茶筅を元に戻し、古帛紗を右手でとり、左手のひらにのせ、右手を逆手にして客付定座に右手の親指を下にしておき、広げる。

茶碗を右手でとり、左手の平にのせ手前に二回まわして正面を正し、右手で古帛紗の上にのせて出す。

正客は茶碗を取りに出て、茶碗を手のひらに乗せ席に戻る。

客の「お点前頂戴いたします」の挨拶を受け、飲み終わった茶碗が返されると、右手でとり、左手のひらで扱い、右手で蓋上に置き、古帛紗を右手二つ折りにして、右膝横に仮置きをする。

袱紗を右手でとり、鉄瓶を左手で持ち、袱紗で蓋を押さえながら茶碗に湯を入れ、鉄瓶を戻し、袱紗を元に戻す、

茶碗を右手でとり、左手で建水に湯を捨て、正客より仕舞いの挨拶があるとこれを受け、茶碗を蓋上に置き、仕舞いの挨拶をする「お仕舞いいたします」。

拝見所望の挨拶があるとそれを受け、古帛紗を右手でとり、箱と蓋との間に置き、袱紗を右手でとり、左手で鉄瓶を取り、袱紗で蓋を押さえながら茶碗に湯を入れ、鉄瓶を戻し、袱紗を元に戻す。

右手で茶筅を取り、茶筅通し(一度上げ二度打ち)をし、茶筅を元に戻し、建水に湯を捨て、右手で茶巾を取り、茶碗を拭き、茶巾を入れたまま蓋上に茶碗を置き、右手で茶筅をとり、茶碗に入れる。

左手で建水をひき、両手で箱を元の位置まで引き、古帛紗を右手でとり、箱の向こう上に置いて広げて、茶碗を右手で右横、左手で左横、右手で右手前と三手で、古帛紗の上に置く。

両手で蓋を持ち、客付斜めに回り、膝前に蓋を置き、盆上の袱紗を右手でとり、さばき直し、棗の蓋上を拭き清め、棗の蓋を開けて蓋上に置き、棗の口を拭き清め、棗に蓋をして、箱の蓋上、中央に置く。

袱紗をさばき直し茶杓を拭き清め、右手で茶杓を蓋上の棗の左に置く。

袱紗を建水の上ではらい、袱紗を右手で盆の左縁に戻し、蓋を両手で取り上げ、右向こう、左手前と回し、正面を正し、定座に出す。

瓶掛正面に戻り、箱を両手で持ち、客付に斜めに回り、膝前に箱を置き、右向こう、左手前と回し、蓋の下座に出す。

瓶掛正面に戻り、両手で盆を持ち、勝手付におき、茶碗を古帛紗ごと両手で持ち、盆中央に乗せ、一膝が勝手付に向き、左手で建水を持って、水屋に下がる。

正客は、出された道具をひいて、拝見する。

拝見が終わり、道具が返されると、席にはいり、道具正面に進んで座り、正客からの問いに答え、蓋を両手で取り、瓶掛正面に回り、膝前に置く。

もう一度客付に斜めに回り、箱を両手で持ち、瓶掛正面に回り、勝手付の盆の下座(建水のあったところ)に置く。

右手で振出をとり、蓋の右横に置き、右手で茶碗の中の茶筅をとり、左手で箱の中の茶筅筒を取り(茶筅とったら茶筅筒)、茶筅を茶筅筒にしまい、左手で茶筅筒を箱の中に戻す。

右手で茶巾をとり、左手で茶巾筒を取り(茶巾とったら茶巾筒)、茶巾を茶巾筒の胴に当てて巻き、茶巾筒にしまい、左手で茶巾筒を箱の中に戻す。

蓋上の棗を右手で少し向こうに置き、茶碗を右、左、右の三手で蓋上棗の手前に置き、右手で古帛紗を二つ折りにし、茶碗に入れ、その上に右手で棗をとって入れ、茶碗を両手で箱の中に入れる。

右手で振出をとり、左手のひらで扱ってから右手で箱の中に入れ、茶杓をとり、左手で扱って、右手で箱の中茶碗に斜めに伏せてのせる。

右手で袱紗をとり、鉄瓶の蓋の向こうを切ってから、袱紗をさばき直し、箱の中の、茶碗茶杓の上に置き、蓋を両手で取り、箱に蓋をする。

茶箱を両手で持ち、盆の上に乗せ、両手で盆を持ち瓶掛正面に置き、盆を持ち直して茶道口に下がって座り、建付に盆を置き、主客総礼をし、襖を閉める。

拝見なしの場合

茶碗と振出が返されると、右手で茶碗を取り、左手で扱って、右手で蓋の上に置き、右手で古帛紗を二つ折りにし、右一手で箱と蓋の間に置き、その手で振出を右膝横に取り込む。

右手で袱紗をとり、左手で鉄瓶を持ち、茶碗に湯を入れ、建水に湯を捨て、正客より仕舞いの挨拶があるとこれを受け、茶碗を蓋の上に置き、仕舞いのの挨拶をする。

茶碗に湯を入れ、茶筅通し(一度上げ二度打ち)をし、右手で茶筅を持ったまま、左手で箱中の茶筅筒を取り茶筅を入れ、左手で箱中に戻す。右手で茶碗をとり、左手に持ち替え、湯を建水に捨てる。

右手で茶巾とり、茶碗を拭き、茶巾を入れたまま茶碗を蓋の上に置き、右手で茶巾をとり、左手で箱中の茶巾筒を取り、茶巾筒の銅で茶巾を巻いて、茶巾を茶筅筒の中にいれ、左手で箱中に戻す。

右手で袱紗を取ってさばき直し、茶杓を拭き、茶杓を元に戻して、袱紗を建水の上ではらい、そのまま盆の左に戻す。

左手で建水をさげ、両手で箱をさげ、右手で古帛紗を茶碗に入れ、その手で棗をとり、茶碗に入れ、茶碗を両手で扱いで箱中の手前に直し、右手で振出を横から持ち、左手で扱い、右手で上から持ち箱中に直す。

右手で茶杓をとり、左手で扱い、右手で茶碗上に斜めに伏せて入れ、右手で袱紗をとり、鉄瓶の蓋を向こうに切り、袱紗をさばき直し、茶碗の上にのせる。

両手で膝前の蓋を持ち箱に蓋をして、その手で両手て箱を持ち、盆の上に置き、その手で両手で盆を持ち瓶掛正面に置く。

一膝勝手付に向き、左手で建水を持って水屋に下がる。

席に入り盆の前に座り、両手で盆を持って茶道口に下がって座り、建付に盆を置き、主客総礼をし、襖を閉める。